「からすたろう」(やしまたろう/作 偕成社 1979)
学校がはじまった日、男の子がひとりいなくなりました。その子は教室の床下にかくれていました。とても小さいため、「ちび」と呼ばれるようなった男の子は、先生をこわがってなにもおぼえられませんし、クラスの子たちとも友だちになれません。ちびは雨の日も嵐の日も、とぼとぼと学校にやってきては、みんなに馬鹿にされながら、ひとりで退屈しないやりかたをつぎつぎにみつけだしていきました。
こんなちびに、6年生のときに転機がおとずれます。いそべ先生が新しい受け持ちになったのです。いそべ先生は、ちびが草花のことをよく知っているので感心します。また、ちびが描いた絵や習字も気に入り、壁に貼りだしてくれます。その年の学芸会で、ちびはカラスの鳴き声を、みんなに披露します。
話はまだ終わりません。小学校を卒業し、はたらくちびの姿がえがかれます。ちびはもうちびではなく、からすたろうと呼ばれています。からすたろうと呼ばれると、「そのなまえがきにいったというように うなずいては、ほほえむのでした」
鮮やかな黄色が印象的です。表紙から、あまり手にとられないかもしれませんが、すばらしい絵本です。1956年のコールデコット賞次席。小学校中学年向け。
0 件のコメント:
コメントを投稿