2009年9月30日水曜日

おとうさんのちず












「おとうさんのちず」(ユリ・シュルヴィッツ/作 さくまゆみこ/訳 あすなろ書房 2009)

戦争でなにもかも失ったぼくとその両親は、遠い遠い東の国にやってきました。よその夫婦と暮らすことになり、寝るのは土を固めた床の上です。ある日、市場へでかけた父さんは、パンのかわりに大きな地図を買ってきました。それをみて、お腹がぺこぺこだったぼくは怒りました。でも、つぎの日、父さんが壁に地図を貼ると、暗い部屋に色があふれました。

作者の幼少時代の思い出をえがいた絵本です。ワルシャワで生まれたシュルヴィッツは、戦火のため中央アジアのトルキスタン(今のカザフスタン)で6年間暮らしました(その後、パリ・イスラエル・アメリカへと居を移しています)。絵本では、その後ぼくは地図に夢中になり、空想のなかでさまざまな旅をします。絵本は最後こう結ばれています。「やっぱり おとうさんは ただしかったのだ」。小学校中学年向き

2009年9月29日火曜日

よかったねネッドくん












「よかったねネッドくん」(レミー・シャーリップ/作 やぎたよしこ/訳 偕成社 1997)

「びっくりパーティーにいらっしゃい」という手紙を受けとったネッドくんは、さっそくパーティーにいくことにしました。でも、たいへん! パーティーは遠い田舎でやるのです。でも、よかった! 友だちが飛行機を借してくれました。でも、たいへん! 飛行機が途中で爆発。でも、よかった! 飛行機にはパラシュートがありました。でも、たいへん! パラシュートには穴があいていて…。

パーティー会場にむかったネッドくんの、危機また危機をえがいた、スリルとナンセンスがにあふれる絵本です。このあとも、ネッドくんはサメに追われたり、トラに追いかけられたりします。白黒ページとカラーページが交互になる構成で、白黒ページで「たいへん!」となり、カラーページで「よかった!」となります。お話会の定番絵本のひとつです。あまりの展開にえーっといいながら、子どもたちはよろこんで聴いてくれるでしょう。現在入手できるのは英文併記の版だけのようです。小学校低学年向き。

余談ですが、作者のシャーリップは、本の表紙ではチャーリップと書かれています。オンライン書店の書誌情報では、シャーリップだったり、チャーリップだったり。外国人名をカタカナに直すとき、このようなことがしばしば起こります。図書館では、絵本はたいてい絵を描いたひとの名前順に並んでいて、この本は、「シ」のところにあるでしょう。

2009年9月28日月曜日

ことりのゆうびんやさん












「ことりのゆうびんやさん」(ニコライ・スラトコフ/原作 松谷さやか/文 はたこうしろう/絵 福音館書店 2009)

ぼくのうちには木でできた古い郵便受けがあります。ある日、キツツキが飛んできて、こつこつこつ、郵便受けに穴をあけました。こんどは、セキレイが飛んできました。セキレイはいろんなものをくわえてきて、郵便受けにはこびはじめました。

というわけで、セキレイが郵便受けに巣をつくってしまうお話。郵便屋さんがくるたびに、セキレイが大騒ぎするので、お母さんが手紙をうけとりに駆けだすはめになります。原作はストラコフの短編「セキレイの手紙」。舞台を日本に置きかえて、絵本として構成したものです。めりはりのきいた色づかいで描かれた、はたこうしろうさんの絵は、文章とよくあっていて、こんなことが起こっても不思議はなさそうに思えます。小学校低学年向き。

2009年9月25日金曜日

こねこのチョコレート












「こねこのチョコレート」(B.K.ウィルソン/作 小林いづみ/訳 大社玲子/絵 こぐま社 2004)

ジェニーは4歳の女の子です。弟のクリストファーはもうすぐ3歳になります。ジェニーはクリストファーの誕生日プレゼントに、こねこのチョコレートをあげることにしました。チョコでできた子猫が8匹、箱に入っているのです。ところが、その晩、ジェニーはなかなか眠ることができませんでした。「箱のなかには8匹もこねこがいるのよ」 ジェニーはベッドを抜けだすと、こねこのチョコレートをひとつ口に放りこみました。

このあと、ジェニーはけっきょくチョコレートをみんな食べてしまいます(じつに共感できます)。翌朝は、クリストファーの誕生日。ジェニーはクリストファーにあやまりますが、そのとき、思いがけないことが起こります。あたたかいラストに、思わず胸をなでおろすことうけあいの1冊です。小学校低学年向き。

2009年9月24日木曜日

機関車シュッポと青いしんがり貨車










「機関車シュッポと青いしんがり貨車」(リディア・フリーマン/作 ドン・フリーマン/作 やましたはるお/訳 BL出版 2007)

うきうきサーカス列車のしんがり貨車としてつかわれていた、青い貨車のルーシンは、いまでは列車から切りはなされて、にぎやかな駅のそばの線路脇に置き去りにされていました。駅にいる赤い貨車たちはルーシンを馬鹿にしていましたし、急行列車はなれなれしい声をかけました。でも、小さな機関車のシュッポだけは、ルーシンのことが好きでした。シュッポは除雪車としてはたらいていたこともある機関車でした。でも、大きな機関車たちからは時代遅れと思われていました。ある日、突然冬がやってきて、はげしい吹雪になりました。機関車も急行列車も立ち往生してしまったとき、ルーシンがくしゃみをしました。ハヤク、シュッポ! ハヤク、シュッポ! さあ、シュッポの出番です。

ドン・フリーマンのえがく躍動的な絵と、臨場感あふれる物語とが、みごとに一体となっています。また、すっかり擬人化された列車たちの表情がとても豊かです。巻末の解説によれば、本書はドン・フリーマンとリディア夫人によるはじめての共作絵本。本書をきっかけに、フリーマンは絵本作家として活躍するようになったということです。小学校低学年向け。

余談ですが、ドン・フリーマンのつかう黄色はとても印象的です。当時の印刷技術も関係しているのでしょうが、「からすたろう」の黄色や、「どろんこハリー」の黄色など、共通した鮮やかさを感じさせます。

2009年9月18日金曜日

うさぎさんてつだってほしいの











「うさぎさんてつだってほしいの」(シャーロット・ゾロトウ/文 モーリス・センダック/絵 こだまともこ/訳 富山房 1978)

きょうはお母さんの誕生日です。でも、いったいなにをプレゼントすればいいのでしょう。女の子は、「うさぎさん、てつだってほしいの」と、うさぎさんにたずねました。「いいとも、わたしでよかったらてつだってあげるよ」と、うさぎさんはこたえました。

女の子とうさぎさんの会話で話が進む絵本です。うさぎさんとやりとりすることで、女の子はお母さんへの素敵なプレゼントを思いつきます。センダックの描く水彩画はとてもきれい。うさぎさんは、足が長く、スマート。しぐさも言動も妙に格好いいです。小学校低学年向き。

2009年9月17日木曜日

長ぐつをはいたネコ












「長ぐつをはいたネコ」(ペロー/作 マーシャ・ブラウン/絵 光吉夏弥/訳 岩波書店 1996)

マーシヤ・ブラウンも「長ぐつをはいた」を描いています。こちらの猫も自信満々の表情。どことなく、メス猫っぽい感じです。フィッシャーの猫とはちがい、じつに優雅に楽々と長ぐつをはいています。冒頭はこうです。

「むかし、あるところに、ひとりの粉屋がいました。その粉屋が死んだとき、三人のむすこにのこしたものといえば、水車小屋と、ロバと、ネコだけでした。これっぽっちの財産を分けるのに、弁護士をたのむひつようはありません。

現在品切れ。

以下は余談。長くつをはいたねこに長ぐつをはかせたのは、たしかペローだったと思いました(シンデレラにガラスの靴をはかせたのも、たしかペロー)。長ぐつをはくまえのネコの活躍は、17世紀イタリアの物語集「ペンタネローネ」所収の「ガリューソ」という短篇にみることができます。この短篇では、ラスト、金持ちにしてあげた主人から感謝のことばを並べられたネコは、「ほんとうに感謝してるのかな?」と、死んだふりをします。ネコが死んだと思った主人が、手のひらを返したような発言をすると、ネコはとび上がって主人をののしり、でていってしまいます。ハッピーエンドではありませんが、主人をためすような疑り深いところが、ペローのネコよりネコらしいかも?

2009年9月16日水曜日

ブーツをはいたネコ












「ブーツをはいたネコ」(シャルル・ペロー/作 フレッド・マルチェリーノ/絵 おぐらあゆみ/訳 評論社 1994)

「長ぐつをはいたねこ」で検索してもヒットしない「長ぐつをはいたねこ」本に、この絵本があります。表紙にはなにも文字はなく、猫の顔が描かれているだけです(つまり、左側の画像が本当の表紙)。本をひっくり返すと、タイトルがあります。冒頭はこう。

「こなやには、3人のむすこがいた。まずしかったので、しんだとき、むすこたちにのこしてやれたものは、ふうしゃごやと、いっとうのロバと、いっぴきのネコだけだった。3人には、父おやがしんだからといって、べんごしにそうだんするお金などなかった。どのみち、これっぽちのざいさんではたいしてそうだんすることなんかなかったのだ」

非常に映像的な絵。表紙の猫がじつにりりしいです。

2009年9月15日火曜日

長ぐつをはいたねこ












「長ぐつをはいたねこ」(スベン・オットー/絵 矢川澄子/訳 評論社 1980)

表紙に「グリム童話より」とあり。 フィッシャーとくらべると絵は端正。語り口も端正で、冒頭はこう。

「粉屋がいました。むすこが三人に、粉ひき小屋に、ろば一とう、おすねこ一ぴきが財産でした。むすこたちは粉ひきをてつだい、ろばは麦をはこびこんでは粉をはこびだします。そしてねこは、ねずみをおっぱらう役でした。

現在品切れ。余談ですが、「長ぐつをはいたねこ」の話は、グリム童話の初版には収められていたそうなのですが、ペローのドイツ語訳ということで、後の版では削除されていまったそうです。

長ぐつをはいたねこ












「長ぐつをはいたねこ」(シャルル・ペロー/原作 ハンス・フィッシャー/作 矢川澄子/訳 福音館書店 1990)

ストーリーは省略。
扉に、「原作はシャルル・ペロー 絵物語に仕立てて注釈を付けたのはハンス・フィッシャー 翻訳は矢川澄子」という文章が記されています。そして、その下に鳩胸の、やけに自信に満ちたネコの絵が描かれています。線が躍動しているフィッシャーの絵は、みているだけで楽しくなります。内容も絵と同様に自由奔放。ネコが長ぐつをはくのに、いかに苦労したかなんていう裏話が語られてます。語り口の例として、冒頭を引用してみましょう。

「粉屋がいました。むすこが3にんあって、もちものは風車小屋に、ロバ1とう、おすネコ1ぴきでした。さて、粉屋は死んで、むすこたちは、いさんをわけることになりました。まず、総領が風車、2ばんめはロバ。とすると、末っ子にはネコしかのこっちゃいません」

「長ぐつをはいたねこ」の絵本は何種類もありますが、まず手にとられるべき一冊といえるでしょう。小学校低学年向き。

2009年9月11日金曜日

川はどこからながれてくるの










「川はどこからながれてくるの」(トマス=ロッカー/作 みのうらまりこ/訳 偕成社 1992)

丘の上の黄色い家に、ジョンとアーロンという兄弟が住んでいました。家にそばには、ゆったりと川が流れ、海へとそそいでいます。いったい、この川はどこから流れてくるのでしょう。ジョンとアーロンは、おじいちゃんにキャンプにつれてってとせがみました。次の日、朝早く、三人は川の源にむかい出発しました。

ひと晩のキャンプをして、川の源までさかのぼり、またキャンプをして家にもどってくるという話です。オランダの風景画のような絵がたいへん美しく、3人とともにキャンプにでかけたような気分になれます。小学校中学年向け。

2009年9月10日木曜日

スニッピーとスナッピー









「スニッピーとスナッピー」(ワンダ・ガアグ/作 さくまゆみこ/訳 あすなろ書房 1999)

スニッピーとスナッピーは野ねずみの兄妹です。2匹は、原っぱのすみっこにある居心地のいい巣穴で、お父さんとお母さんと一緒に暮らしていました。ある日、2匹がお母さんの青い毛糸玉で遊んでいると、毛糸玉が巣穴の外に転がりでてしまいました。ひょっとすると、毛糸玉がチーズでいっぱいの食料棚につれていってくれるかもしれないと、2匹は毛糸玉を転がしていきました。

この、毛糸玉と一緒にすすむところが、リズミカルな文章で書かれていて楽しいです。
「ころんと のぼって、ころんと おりて、のぼって のぼって、また おりて、のぼって おりて、また おりて、ころんころんころん、ころんころんころん」

絵は白黒。本のかたちは絵本ですが、話は長く、物語に近いおもむきがあります。子ねずみの視点から語られる物語は、くり返しが多く、それが物語に豊かさと広がりをあたえています。小学校低学年向き。

2009年9月9日水曜日

ガラスめだまときんのつののやぎ









「ガラスめだまときんのつののやぎ」(田中かな子/訳 スズキコージ/絵 福音館書店 1988)

あるところに、おばあさんがいました。おばあさんは畑をたがやし、麦をうえました。麦は青あおと茂り、それはそれは大きくなりました。ところが、ある日、おばあさんが畑にいってみると、1頭のやぎが麦を食べては踏んづけて、のっしのっしと歩いていました。「でてけったらでていけ」と、おばあさんはやぎにいいましたが、やぎはでていきません。どうしようもなく、泣きながら歩いていると、おばあさんは一頭のクマに出会いました。

おばあさんに同情したクマは、やぎを追い出そうとしますが、逆に追い返されてしまいます。このあとはくり返し。オオカミもキツネもウサギも、やぎに撃退されてしまいます。いったい、やぎを追い出すことができるのはだれなのでしょう。白ロシア民話。切り絵でつくられたスズキコージの絵が、迫力があります。それにしてもヤギは強い! 小学校低学年向き。

2009年9月8日火曜日

かものむすめ









「かものむすめ」(松谷さやか/訳 オリガ・ヤクトーヴィチ/絵 福音館書店 1997)

昔、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。ふたりには子どもがなかったので、いつも子どもがいたらよかったのにと思っていました。ある日、森にきのこ狩りにでかけたふたりは、足の折れたかもをみつけました。ふたりは、巣に入れたままかもを抱いて帰り、腰かけの下にそっと置くと、またきのこ狩りにでかけました。やがて、家に帰ると、家のなかがきれいにかたづけられていて、テーブルの上にはパンと、おいしそうなボルシチがありました。

ウクライナ民話の絵本です。この後、おじいさんとおばあさんは美しい娘になったかもに、うちの子になってくれとお願いしますが、娘は聞き入れません。娘は糸をつむぎながら、空をゆくかもの群れと歌をかわしあいます。このとき、かもたちは、娘に一緒に飛んでいけるように羽を投げてあげようと歌うのですが、娘のほうは、わたしが森で足をくじいたとき、だれも待ってはくれなかった歌います。すぐに仲間と和解しないところが、面白いです。絵は澄んだ、味わいぶかいもの。最後、かもむすめに去られたおじいさんとおばあさんの表情がなんともいえません。「こどものとも世界昔ばなしの旅」シリーズ3。現在品切れ。 小学校低学年向き。

2009年9月7日月曜日

あたまにつまった石ころが












「あたまにつまった石ころが」(キャロル・オーティス・ハースト/文 ジェイムズ・スティーブンソン/絵 千葉茂樹/訳 光村教育図書 2002)

わたしの父は子どものころ、石をあつめていました。大人になった父は、自分の父親とガソリンスタンドをはじめました。ところが、大恐慌が起こり、不景気になると、父はわたしたち子どもをつれて、石をさがしにいくようになりました。仕事がみつからず、雨が降っている日には、父はバスに乗って科学博物館にでかけました。ある日、父は博物館で女のひとに声をかけられました。そのひとは、この博物館の館長でした。

館長のグレース・ジョンソンさんは、お父さんの石の知識に感心します。お父さんは大学をでていないので、博物館で雇うことはできないのですが、夜の管理人の仕事につくことができました。ある日の朝早く、お父さんがまちがっていた石のラベルを直していると、ジョンソンさんがやってきていいました。「わたし、理事会で話してみたんですよ。ここに必要なのは、あたまのなかとポケットが石でいっぱいのひとだって」。

好きなことを一途にやりつづけたお父さんの物語です。巻末のあとがきによると、博物館の鉱物学部長になったお父さんは、はたらきながら大学にかよったそうです。作者はこう記しています。
《父が情熱をかたむけたのは、石や鉱物だけではありませんでした。「学ぶ」ということそのものをこよなく愛し、尊重していたのです。》
《父ほど幸福な人生を送った人を、わたしはほかに知りません。》
2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞、ノンフィクション部門オナー賞受賞。小学校中学年向け。

2009年9月4日金曜日

はなとひみつ












「はなとひみつ」(星新一/作 和田誠/絵 フレーベル館 2009)

花が大好きなハナコちゃんは、ある日、モグラをならすことができたら面白いだろうなと思いました。モグラたちに、地面の下をうごきまわらせて、草木の世話をさせるのです。ハナコちゃんがその思いつきを絵に描いたところ、風が吹いてきて、絵がとばされてしまいました。空に舞い上がった絵は、どんどん飛ばされ、カモメにくわえられて、ある島の建物に落ちました。その建物は、ある国がつくった秘密の研究所で…。

星新一の文章は、子ども向けでもクールです。冒頭を引用してみます。

《ハナコちゃんは、はなが だいすきだった。
 おんなのこは だれでも はなが すきだが、
 ハナコちゃんは、とくに
 はなが すきだったのだ。》

話は面白く、絵も話によくあっていて、素敵な一冊になっています。小学校低学年向き。

2009年9月3日木曜日

あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま









「あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま」(イヨンギョン/作 かみやにじ/訳 福音館書店 1999)

昔、頭に赤い手ぬぐいをかぶっている奥さんがいました。奥さんはお針がとても上手で、部屋にはいつも、物差し、ハサミ、針、糸、指ぬき、のしごて、火のしの7つの道具がおいてありました。ある日、奥さんがうたたねしていると、背の高い物差し夫人が、みんなを見下ろしていいました。「うちの奥さんがお針が上手なのは、なんといってもわたくしがいるからですわ」。それを聞いたハサミお嬢さんが、口をとがらせていいました。「いくら寸法をはかっても、きれいに布を切らなければなんにもならないわ」。すると、こんどはすまし屋の針娘が…。

というわけで、裁縫道具がつぎからつぎへと自慢していくお話。道具たちの性格づけが、それぞれ特徴を彷彿とさせます。しまいには、奥さんも自慢をはじめるのですが、道具たちと同レベルなのがおかしいです。最後に、みんなで歌をうたって終わりになります。お話会などで、女のひとが読んだら楽しそうな1冊です。小学校低学年向き。

2009年9月2日水曜日

てぶくろ












「てぶくろ」(エウゲーニー・M・ラチョフ/作 内田莉莎子/訳 福音館書店 1995)

ある日、雪のなかを歩いていたおじいさんは、手袋を片方落としてしまいました。すると、ねずみが駆けてきて、手袋にもぐりこみました。「ここで暮らすことにするわ」。そこへカエルがやってきました。それから、ウサギに、キツネに、灰色オオカミ。手袋にすむ仲間たちはどんどん増えていきますが…。

お話会の定番絵本のひとつです。手袋に大勢の動物たちがすむなんてありえないことなのですが、ラチョフがえがくとありえそうに思えるから不思議です。動物たちが増えるにしたがい手袋も改築されていくのが楽しいです。3歳から。

2009年9月1日火曜日

ぼうし










「ぼうし」(ジャン・ブレット/作 松井るり子/訳 ほるぷ出版 2005)

冬がきます。リサが冬物を外に干すと、くつ下が片方、風に吹きとばされてしまいました。そこへ、知りたがりやのはりねずみのハリーがやってきて、くつ下に鼻を突っこみました。すると、くつ下がとれなくなってしまいました。「ハリーはなにをかぶっているの?」と、ほかの動物たちに訊かれるたびに、ハリーは帽子なんだといいはります。

細かく、ていねいにえがかれた絵です。画面の上方にえがかれた冬物が、ページをめくるごとに姿を消していくのですが、最後にその理由がわかります。小学校低学年向き。