2009年9月7日月曜日

あたまにつまった石ころが












「あたまにつまった石ころが」(キャロル・オーティス・ハースト/文 ジェイムズ・スティーブンソン/絵 千葉茂樹/訳 光村教育図書 2002)

わたしの父は子どものころ、石をあつめていました。大人になった父は、自分の父親とガソリンスタンドをはじめました。ところが、大恐慌が起こり、不景気になると、父はわたしたち子どもをつれて、石をさがしにいくようになりました。仕事がみつからず、雨が降っている日には、父はバスに乗って科学博物館にでかけました。ある日、父は博物館で女のひとに声をかけられました。そのひとは、この博物館の館長でした。

館長のグレース・ジョンソンさんは、お父さんの石の知識に感心します。お父さんは大学をでていないので、博物館で雇うことはできないのですが、夜の管理人の仕事につくことができました。ある日の朝早く、お父さんがまちがっていた石のラベルを直していると、ジョンソンさんがやってきていいました。「わたし、理事会で話してみたんですよ。ここに必要なのは、あたまのなかとポケットが石でいっぱいのひとだって」。

好きなことを一途にやりつづけたお父さんの物語です。巻末のあとがきによると、博物館の鉱物学部長になったお父さんは、はたらきながら大学にかよったそうです。作者はこう記しています。
《父が情熱をかたむけたのは、石や鉱物だけではありませんでした。「学ぶ」ということそのものをこよなく愛し、尊重していたのです。》
《父ほど幸福な人生を送った人を、わたしはほかに知りません。》
2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞、ノンフィクション部門オナー賞受賞。小学校中学年向け。

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