「かものむすめ」(松谷さやか/訳 オリガ・ヤクトーヴィチ/絵 福音館書店 1997)
昔、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。ふたりには子どもがなかったので、いつも子どもがいたらよかったのにと思っていました。ある日、森にきのこ狩りにでかけたふたりは、足の折れたかもをみつけました。ふたりは、巣に入れたままかもを抱いて帰り、腰かけの下にそっと置くと、またきのこ狩りにでかけました。やがて、家に帰ると、家のなかがきれいにかたづけられていて、テーブルの上にはパンと、おいしそうなボルシチがありました。
ウクライナ民話の絵本です。この後、おじいさんとおばあさんは美しい娘になったかもに、うちの子になってくれとお願いしますが、娘は聞き入れません。娘は糸をつむぎながら、空をゆくかもの群れと歌をかわしあいます。このとき、かもたちは、娘に一緒に飛んでいけるように羽を投げてあげようと歌うのですが、娘のほうは、わたしが森で足をくじいたとき、だれも待ってはくれなかった歌います。すぐに仲間と和解しないところが、面白いです。絵は澄んだ、味わいぶかいもの。最後、かもむすめに去られたおじいさんとおばあさんの表情がなんともいえません。「こどものとも世界昔ばなしの旅」シリーズ3。現在品切れ。 小学校低学年向き。
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