「機関車シュッポと青いしんがり貨車」(リディア・フリーマン/作 ドン・フリーマン/作 やましたはるお/訳 BL出版 2007)
うきうきサーカス列車のしんがり貨車としてつかわれていた、青い貨車のルーシンは、いまでは列車から切りはなされて、にぎやかな駅のそばの線路脇に置き去りにされていました。駅にいる赤い貨車たちはルーシンを馬鹿にしていましたし、急行列車はなれなれしい声をかけました。でも、小さな機関車のシュッポだけは、ルーシンのことが好きでした。シュッポは除雪車としてはたらいていたこともある機関車でした。でも、大きな機関車たちからは時代遅れと思われていました。ある日、突然冬がやってきて、はげしい吹雪になりました。機関車も急行列車も立ち往生してしまったとき、ルーシンがくしゃみをしました。ハヤク、シュッポ! ハヤク、シュッポ! さあ、シュッポの出番です。
ドン・フリーマンのえがく躍動的な絵と、臨場感あふれる物語とが、みごとに一体となっています。また、すっかり擬人化された列車たちの表情がとても豊かです。巻末の解説によれば、本書はドン・フリーマンとリディア夫人によるはじめての共作絵本。本書をきっかけに、フリーマンは絵本作家として活躍するようになったということです。小学校低学年向け。
余談ですが、ドン・フリーマンのつかう黄色はとても印象的です。当時の印刷技術も関係しているのでしょうが、「からすたろう」の黄色や、「どろんこハリー」の黄色など、共通した鮮やかさを感じさせます。
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