2013年3月2日土曜日

ちゃっくりがきいふ















「ちゃっくりがきいふ」(桂文我/話 梶山俊夫/絵 福音館書店 2002)

昔、あるところに佐吉という男がいました。佐吉はどこではたらいても、いつも失敗し、勤め先から追い出されるはめになりました。あるとき、花瓶を割って古道具屋を追い出された佐吉は、隣町に住む親戚のおじさんのところに、相談をしにいきました。

「おまえはどこでも失敗ばっかりしてきたからなあ。もうはたらくところはないかもわからんで」というおじさんに、佐吉は必死で頼みます。すると、おじさんは、「そうや! うちにあるものを外で売ってきなはれ」といいだして――。

落語をもとにした絵本です。文章はタテ書き。梶山俊夫さんがえがく絵も、柔らか味のあるユーモラスなものです。さて、おじさんは台所にあった、お茶と、栗と、柿と、ふをザルに入れてもってきて、これを売ってこいと佐吉に渡します。さっそく、佐吉は外にでますが、だれも買ってくれません。金魚売りの真似をして、売り声を上げてみますが、「お茶はいりまへんかー。栗を買いませんかー。柿はどうですかー。ふも美味しいでっせー」というのは長すぎます。そこで、いっぺんに縮めていうことにして、「ちゃっくりがきいふ」といって歩いていると、子どもたちが寄ってきて――。なんとも、にぎやかで愉快な一冊です。小学校中学年向き。



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