2013年3月22日金曜日

ずいとんさん














「ずいとんさん」(日野十成/再話 斎藤隆夫/絵 福音館書店 2005)

昔、ある山寺に、和尚さんと、ずいとんという名前の小僧さんがいました。あるとき、和尚さんが村にでかけ、ずいとんがひとりで留守番をすることになりました。和尚さんにいわれたとおり、ずいとんは本堂でご本尊さまにお経をあげていましたが、だんだん眠くなってきて、こくりこくりと居眠りをはじめました。すると、庫裏(くり)から、「ずーいとん、ずーいとん」と呼ぶ声が聞こえてきました。

ずいとんは庫裏にいってみますが、だれもいません。でも、本堂にもどると、また「ずーいとん」と声がして──。

日本の昔話をもとにした絵本です。斎藤隆夫さんは、「かえるをのんだととさん」などをえがいたひと。横長の画面いっぱいに、密度のある絵が展開していきます。絵のなかに紅白の梅がえがかれているところから、季節は初春のころでしょうか。このあと、「ずーいとん」と呼んでいたのは、キツネのいたずらだったことがわかります。ずいとんに見破られたキツネは、本堂に逃げこみ、ご本尊さまに姿を変えます。どちらが本物か見分けがつかなくなってしまうのですが、ずいとんはとんちをきかせて、みごとキツネをこらしめます。小学校低学年向き。

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