2013年3月22日金曜日

162ひきのカマキリたち















「162ひきのカマキリたち」(得田 之久/作 福音館書店 2003)

春の夜明け、あちこちの草むらで、冬を越したカマキリの卵嚢(らんのう)から、162匹のカマキリの子どもたちが生まれました。生まれたばかりの子どもたちは、からだが固くなるまで、草むらで静かにしています。でも、そのあいだにアリやカエルに食べられてしまうこともあります。次の日、カマキリの子どもたちの数は、半分以下になっていました。

2、3日すると、子どもたちは、草むらを歩きまわり、葉っぱについた水を飲んだり、小さなアブラムシを食べたりするようになります。でも、クモの巣にかかったり、仲間のカマキリに食べられたりして──。

カマキリの一生を追った絵本です。絵は、写実的で臨場感のある、じつに見事なもの。当初162コマにえがかれていたカマキリが、あっという間に数コマになってしまう表現は、生きのびることの厳しさをよくあらわしています。このあとも、カマキリの子どもたちは、どんどん数が少なくなり、7回目の脱皮を終えて大人になれたのは、たった1匹、メスのカマキリだけになります。でも、このカマキリが卵嚢を生み、卵嚢は冬を越し、春になって──と、カマキリの物語は続いていきます。小学校低学年向き。

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