2010年6月29日火曜日

おひさまをほしがったハヌマン









「おひさまをほしがったハヌマン」(A.ラマチャンドラン/作 松居直/訳 福音館書店 1997)

あるとき、風の神ワーユに息子が生まれました。ワーユはたいそう喜んで、その子にハヌマンという名前をつけました。ある朝、木のあいだから顔をみせているお日様をみつけたワーユは、「なんと素晴らしいものだろう」と、すっかり心を奪われてしまいました。そして、もっとよくみようと大きな木にのぼり、空を飛んで、お日様に近寄っていきました。

ハヌマンが近づいてくると、お日様は顔を曇らせ、雲の後ろに隠れてしまいます。それでも、ハヌマンが追っていくと、ちょうどそこを通りがかった神々の王インドラが、乱暴なハヌマンに腹を立て、もっていた杵《バジラー》を投げつけ、ハヌマンを倒してしまいます。

インドの「ラーマーヤナ」から材をとった絵本です。絵は装飾的で、ゆったりとした語り口の物語にとてもよくあっています。このあと、息子が殺されたワーユは悲しみのあまりこの世から姿を消してしまい、すると空気がなくなって、人間も動物も虫も木も草もみんな死んでしまいます。そこで、世界を元通りにするため、インドラがワーユを訪ね歩き…と物語は続きます。読み聞かせをする場合、ハヌマンがインドラに倒されて落ちていく場面では、絵本をタテにする必要があります。小学校低学年向き。

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