2010年6月14日月曜日

クムカン山(さん)のトラたいじ











「クムカン山(さん)のトラたいじ」(松谷みよ子/文 梶山俊夫/絵 ほるぷ出版 1991)

昔、キルリヨンという男の子がいました。父さんがいないので、いつもいじめられていました。なぜうちには父さんがいないの、とキルリヨンが訊くと、「おまえも八つだから聞かせてあげよう。父さんはクムカン山の大トラを退治にいって、それっきり帰ってこないのだよ」と、母さんはこたえました。その日から、キルリヨンは鉄砲の稽古をはじめました。

さて、3年がたって、父さんの仇を討ちに、キルリヨンがクムカン山にいこうとすると、母さんが首を横に振ります。「母さんの頭にのせた水がめの耳を10里はなれて撃てるかい。父さんにはできた」。それから3年、水がめの耳を撃ち落とせるようになると、母さんはこういいます。「10里はなれて母さんがもっている針のメドを撃ち抜いてごらん」。また3年がたち、針のメドも撃ち抜けるようになったキルリヨンは、いよいよクムカン山へむかいます。

朝鮮の民話「金剛山(クムカンサン)の虎退治」をもとにした絵本です。このあとも、波瀾万丈の物語が続きます。この民話は「ネギをうえた人」(金素雲/編 岩波少年文庫 2001)にも収録されているので、読みくらべてみると、どこを改変したかがわかり興味深いです。小学校低学年向き。

0 件のコメント:

コメントを投稿