「くさのなかのおひめさま」(アスビョルンセン/再話 モー/再話 シーグルン・セービュ・カプスベルゲル/絵 中川あゆみ/訳 セーラー出版 1997)
昔むかし、12人の息子のいる王様がいました。息子たちが大人になったある日、王様は、世の中にでていって、1日で糸をつむいで、はたを織り、シャツを1枚縫うことができる花嫁をみつけてくるようにと、息子たちにいいました。王様から、馬を一頭、鎧かぶとをひとつずつ用意してもらった息子たちは、花嫁をさがしにでかけました。しばらくいくと、末っ子の灰まみれは、兄さんたちに置いてきぼりにされてしまいました。灰まみれが草むらにすわりこんで泣いていると、手のひらくらいの女の子がやってきて、「草のなかのお姫さまに会いにいらっしゃいませんか」といいました。
さて、草のなかのお姫さまに出会った灰まみれは、これ以上旅を続けたくないこともあり、私の妻になっていただけませんかと申し出ます。お姫さまはこれを受け入れ、とっても小さいシャツを縫い、灰まみれはそのシャツをもって王様のところにもどります。シャツがあまりにも小さかったので、灰まみれは恥ずかしかったのですが、王様が「姫を連れてきなさい」といったので、姫を連れていくと──。
ノルウェーの昔話をもとにした絵本です。アスビョルンセンとモーは、ノルウェーの昔話を採集した名高いひとたち。巻末の訳者のことばによれば、「もしまだ死んでいなければ、いまの生きているはずですよ」という末尾の一文は、ノルウェーの昔話によくみられる結びのことばだということです。
また、「はいまみれ」(アスケラッデン)という名前の若者もよくでてきて、たいて兄弟の末っ子で、兄さんたちからいじめられ、いつもかもどの灰をいじっているのでこの名があるということです。絵は透明感のある水彩画。字がが小さいので、一見むつかしそうにみえるかもしれません。小学校低学年向き。
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