「いちご」(新宮晋/作 文化出版局 1977)
五感を総動員して、詩のような文章で、いちごが実るまでをえがいた絵本です。その文章は、たとえばこんな具合――。
「いちごには北極がある。南極がある。その間には金の鋲が打ってある」
読むと、いちごがただの果物ではなく、巨大な惑星のように感じられます。なんとも不思議な味わいの、類のない一冊といえるでしょう。
作者の新宮晋さんは、自然エネルギーでうごく彫刻をつくることで高名な芸術家です。また、この絵本は5ヶ国語(日英仏独伊、たぶん)で表記されています。なお、絵本作家の五味太郎さんと、編集者の小野明さんによる、絵本についての対談集「絵本をよみつづけてみる」(平凡社 2000)に、この作品がとりあげられています。大人向き。
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