2011年7月21日木曜日

モミの木












「モミの木」(アンデルセン/原作 バーナデット/絵 ささきたづこ/訳 西村書店 1999)

森のなかに、一本の小さいモミの木が生えていました。モミの木は早く大きくなりたくてしかたがありませんでした。ときどき、キイチゴを摘みにやってきた村の子どもたちが、モミの木をみつけて、「なんてかわいいモミの木かしら」といいましたが、小さなモミの木はちっともうれしくありませんでした。

クリスマスのころは、若くて格好のいいモミの木がたくさん切り倒されます。小さなモミの木が、どこへいくんだろうと思っていると、スズメたちが「モミの木はきれいな飾りをたくさんつけて、部屋の真ん中に立ってたよ」と教えてくれます。モミの木があこがれに枝をふるわせると、風がいいます。「ここにいることを喜びなさい」。でも、モミの木はうれしくはありません──。

アンデルセン原作の絵本です。絵は、色鉛筆でえがかれたもの。このあと、モミの木は切られて、あるお家に飾られて、すっかり嬉しくなったモミの木でしたが…と物語は続きます。アンデルセンらしい、もの悲しいストーリーが印象に残ります。小学校中学年向き。

なお、同じ原作を写真で表現した絵本に、「モミの木」(マルセル・イムサンド/写真・構成 リタ・マーシャル/写真・構成 小杉佐恵子/訳 西村書店 1988)があります。大人向きですが、読みくらべてみるのも面白いでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿