2011年7月11日月曜日

にぐるまひいて










「にぐるまひいて」(ドナルド・ホール/文 バーバラ・クーニー/絵 もきかずこ/訳 ほるぷ出版 1980)

10月、父さんは荷車に牛をつなぎました。それからみんなで、一年間にみんながつくり、育てたものを、なにもかも荷馬車に積みこみました。4月に父さんが刈りとった羊の毛をつめた袋、母さんがその羊の毛をつむいで編んだショール、それに娘が糸で編んだ指なし手袋が5組。みんなでつくったロウソク、亜麻を育てて仕上げたリンネル、父さんが切りだした屋根板のたばと、息子が料理ナイフでつくった白樺のホウキ。野菜畑から掘りだしたジャガイモとリンゴをひと樽、ハチミツとハチの巣、カブとキャベツ、3月にカエデの樹液を煮つめてとった、カエデ砂糖の木箱詰め、それに放し飼いのガチョウから子どもたちがあつめた羽がひと袋──。

荷馬車がいっぱいになると、父さんは牛を引いて、10日がかりでポーツマスの市場にむかいます。そして、なにもかも、牛も荷馬車も売りつくし、家族みんなにおみやげを買って、きた道をもどって家に帰ります。

アメリカの、昔の暮らしをもとにした絵本です。このあと、うちに帰ってきた父さんは、冬じゅうかけて新しい荷車をつくり、母さんはリンネルを、娘は刺繍を、息子はホウキをつくり、3月には家族総出でカエデ砂糖をつくるところがえがかれます。淡々とした家族の暮らしが、読む者の胸を強く打つ絵本です。1980年度コールデコット賞受賞。小学校低学年向き。

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