「くまのコールテンくん」(ドン=フリーマン/作 まつおかきょうこ/訳 偕成社 1990)
大きなデパートのおもちゃ売場にいる、くまのコールテンくんは、ほかのおもちゃたちと同じように、いつもだれかがきて、うちに連れていってくれないかなあと思っていました。ある朝、ひとりの女の子が、コールテンくんの目をじっとのぞきこんで、「ねえみて、ママ! あたし、ずっと前からこんなくまがほしかったの」といいました。でも、お母さんは首を振って、「きょうはだめよ。もうお金をたくさん使っちゃったから。それに、これ新品じゃないみたい。吊りひものボタンがひとつとれてるわ」といいました。
その晩遅く、コールテンくんはとれたボタンがどこかに落ちていないか探しにいきます。
ぬいぐるみのくま、コールテンくんのお話です。コールテンくんはボタンをさがしているうちに、うっかりエスカレーターに乗ってしまいます。エスカレーターにはこばれながら、コールテンくんはこう思います。「これ、山かな? ぼく、ずっと前から山に登ってみたいなあって思っていたんだ」。この、「ずっと前から…」がくり返されることにより、作品に深みをあたえています。ドン・フリーマンの絵のうまさはいうまでもありません。可愛らしく感動的な、傑作絵本の一冊です。コールデコット賞オナー賞受賞。小学校低学年向き。
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