「サティさんはかわりもの」(M.T.アンダーソン/文 ペトラ・マザーズ/絵 今江祥智/訳 遠藤育枝/訳 BL出版 2004)
エリック・サティは1866年、フランスの海ぞいの村、オンフールに生まれました。小さいときから音楽が大好きで、演奏と作曲を学ぶために学校にかよいました。サティの一生の望みは、それまでの決まりごとにとらわれない、まったく新しい音楽を生みだすことでした。でも、サティの新しい音楽は、たいていのひとに嫌がられました。
友だちに連れられていったカフェ「黒猫亭」で、サティはピアノを弾くようになります。「黒猫亭」は芸術家のたまり場で、サティの風変わりな音楽をみんなは嫌がらずに聞いてくれました。サティはここで、のちに一番有名になったピアノ曲「ジムノペディ」を演奏します。
風変わりな音楽をつくった風変わりな音楽家、エリック・サティの伝記絵本です。このあと、ひと並に恋をしたり、でもサティがカンシャクもちだったために別れたり、決まりを破るためには決まりを知らなければならないと、一度はやめた音楽学校に39歳で入り直して、こんどはちゃんと卒業したり、「バラード」「本日休演」といった奇妙キテレツなバレエを上演したりといった、サティの一生が語られます。絵は、くせのないおだやかな印象の水彩画。サティが亡くなったのは、1925年7月1日。お葬式の日、教会では結婚式もおこおなわれていたそうです。それは大変サティ風のことだったと、その場面はこんな風に記されています。
「サティの音楽そっくりに
うれしさだけでも悲しさだけでもない、
うれし悲しいひとときだった」
読むと、サティの音楽が聞きたくなる一冊です。小学校高学年~大人向き。
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