2011年1月18日火曜日

かしこいモリー










「かしこいモリー」(ウォルター・デ・ラ・メア/再話 エロール・ル・カイン/絵 中川千尋/訳 ほるぷ出版 2009)

昔、あるところに年をとった木こりがいました。ある日、木こりは末の3人の娘に糖蜜パンをひと切れずつ渡すと、森へたきぎをとりにいかせました。3人の娘は、森の奥へ奥へと入っていき、帰り道がわからなくなってしまいました。日が沈むころ、木々のむこうに小さな明かりをみつけ、3人のなかで飛び抜けてかしこい末娘のモリーが、その家にいって戸を叩きました。でてきた女のひとに、「どうか食べものをめぐんでください」とモリーがいうと、女のひとはいいました。「ここは人食い大男の家だよ。うちのひとが帰ってきたら、おまえさんたちこそ食べられてしまうさ」

このあと、大男が帰ってくるのですが、モリーが機転を利かせ、3人はうまく家から逃げだします。また、森をさまよって、こんどは立派な城にたどり着き、モリーはこれまでのことを王様に話します。すると、王様は、もしモリーが大男の家にもどって枕元にかけてある剣をとってきたなら、モリーの一番上の姉さんと、一番上の王子を結婚させてやろうといいだします──。

イギリスの昔話をもとにした絵本です。訳者あとがきによれば、もとの昔話は「おはなしのろうそく」の1巻に収録されているそうです。読みくらべてみると、デ・ラ・メアによる再話は描写が増え、おかしみが増しています。エロール・ル・カインによる絵は、装飾的で、舞台の背景のよう。デ・ラ・メアとル・カインにより、絵本版のモリーはよりチャーミングになっています。小学校中学年向き。

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