「きこえるきこえるふゆのおと」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 チャールズ・G・ショー/絵 よしがみきょうた/訳 小峰書店 1998)
ある日、子犬のマフィンは葉っぱが風に散っていくのをみました。外は冷たく静かな夜になり、黒い枝が窓ガラスを叩いて、ヒューヒューという風の音が聞こえてきました。大きな雨粒も落ちてきました。そのとき、道のむこうから、こんな音が聞こえてきました。《ノシッ ノシッ ザクザク》。いったいなんの音でしょう。
次の日、マフィンはかすかな音を聞きます。それは、ひとの息づかいのような柔らかい音です。お月さまにむかって飛んでいく大きな風船の音でしょうか。きらきら光るガラスの玉が砕けて100個の金色のかけらになった音でしょうか。それとも、大きなチョウチョウが夜空を舞う音でしょうか。それは、マフィンが生まれてはじめて聞く音です。いったいなんの音?──。
冬の音についての絵本です。暖炉で炎が燃える音、窓の外をゆく車の音、リンゴを食べる音など、さまざまな音が詩的な文章とともにとり上げられます。後半は、マフィンがはじめて聞く音についての、問いと答えで構成されています。
「ぞうが気持ちよさそうにハンモックでお昼寝してる音? おおまちがい。だれかが内緒話をしているの? ううん」
といった具合。
絵は鮮やかでグラフィカルなもの。鮮やかにもかかわらず、冬の感じがよくでています。小学校低学年向き。
0 件のコメント:
コメントを投稿