2010年2月23日火曜日

スマントリとスコスロノ












「スマントリとスコスロノ」(乾千恵/再話 早川純子/絵 松本亮/監修 福音館書店 2009)

ジャティサロノという国の山奥に、スマントリとスコスロノという兄弟が生まれました。ととのった顔立ちのスマントリは、大切に育てられ、美しい若者に育ちました。いっぽう、顔や姿があまりにもみにくく恐ろしかったスコスロノは、生まれてすぐに森の奥の谷底に捨てられてしまいました。ところが、スコスロノはたくましく生きのび、森のなかで暮らしながら、不思議な力を身につけていきました。スコスロノはときには暗闇にまぎれて兄さんのスマントリを訪ね、遅くまで話しこみました。ふたりは仲のいい兄弟だったのです。

その後、スマントリはマエスパティ国の王、ハルジュノソロスのもとではたらくことになり、スコスロノは兄をかげから支えます。が、運命はこの兄弟を引き裂いてしまいます──。

インドネシアにつたわる影絵芝居ワヤンをもとにした絵本です。巻末に詳しい解説がついています。絵は、版画で影絵の感じを再現したもの。たたかいの場面になると、レイアウトが変わり、大変な迫力になります。運命に翻弄された双子の哀切さが印象深い読物絵本です。小学校中学年向き。

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