「あいにいくよ、ボノム」(ロラン・ド・ブリュノフ/作 ふしみみさを/訳 講談社 2005)
赤い山のふもとに住むエミリーは、ある日、望遠鏡で山のてっぺんにある木をみていました。すると、木の下に、頭にとげのある、なんだかおかしな生きものをみつけました。生きものは、歩いているときもありますが、たいていは木のそばでぼんやり座っています。ある晩、エミリーはベッドに腰をかけて考えました。「あの子はどうして山のてっぺんにひとりで住んでいるのかしら?」。翌朝、エミリーは山にのぼっていきました。
山のてっぺんで、エミリーは生きものと会い、ボノムと名前をつけます。エミリーとボノムは仲良くなりますが、いっぽうエミリーが帰ってこないのを心配したお父さんとお母さんが、このことを市長に相談し、ボノムは警官につかまってしまいます。
絵は白黒で、ところどころに赤がつかわれています。躍動感のある線でえがかれた、洒脱な絵が魅力的です。ボノムはなんだかわからない生きものですが、ちょっと男の子っぽく(ボノムとはフランス語で男の子という意味だそうです)、じつに愛らしいです。巻末の作品紹介によれば、作者は「ぞうのババール」の作者、ジャン・ド・ブリュノフの長男だそうです。小学校低学年向き。
ところで、この絵本は「ボノム」(すえまつひみこ/訳 福音館書店 1994)を改題、改訳したものです。手にとると、「あいにいくよ…」のほうが、表紙の紙が厚い感じがします。エミリーがベッドで考えるところは、「ボノム」だとこうなります。「どうしてあの子はあの山にひとりぽっちでいるのかしら?」
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