「しろいむすめマニ」(稲村哲也/再話 アントニオ・ポテイロ/絵 福音館書店 1997)
昔むかし、アマゾンのジャングルに住むひとたちは、だれも作物のつくりかたを知りませんでした。そのため、木の実や動物がとれなくなると、べつの場所にうつらねばなりませんでした。あるとき、村長の息子に、ひとりの女の子が生まれました。真っ白な肌をしていたその子は、マニと名づけられ、大切に育てられました。マニはすぐ大きくなり、ふた月もすると、お母さんの仕事を手伝うようになりました。そして、織物をつくることも、土で水瓶や人形をつくることも、だれよりも上手になりました。ところが、1年たつと、マニは力が弱り、食べることもうごくこともできなくなってしまいました。そして、とうとうそのまま息を引きとってしまいました。
その後、マニは埋葬されるのですが、何度もお母さんの夢のなかにあらわれます。そして、あるとき、日照りが続き、食べものがなくなって、村人たちがべつの場所にうつろうとしたとき、一羽の鳥が飛んできて「マニがよんでる、マニがよんでる」と鳴きだします。村人たちが、マニの埋められたところにいってみると…。
本書の副題は「アマゾンのイモのはじまり」。なぜ、イモでパンをつくって食べるようになったのかという、穀物起源譚です。素朴さのただよう絵が、物語にぴったりあっています。小学校低学年向き。
0 件のコメント:
コメントを投稿