「ふしぎのたね」(ケビン・ヘンクス/文 アニタ・ローベル/絵 伊藤比呂美/訳 福音館書店 2007)
だれかが、荒れ地にふしぎの種を植えました。でも、お日様はぎらぎら、空はからからで、芽はでません。いっぽう、子ウサギはちょろちょろ細いリボンのような川を渡り、冒険にいきました。あっちへいって、こっちへいって、とうとう迷子になりました。それから、子どもがいました。なにかしたかったのですが、なんにも思いつかなかったので、なんにもできませんでした。そのとき、雨が降りだして、小川は大きくなり、種は芽をだしました。
雨が降り、子どもは大喜びするのですが、子ウサギは濡れて寒くてひとりぼっちになってしまいます。それに、子ウサギは水かさが増えた小川を渡れません。ところが、子どもがいいことを思いつきます──。
子どもと子ウサギと種という、3つの視点からえがかれた絵本です。それぞれのストーリーは最後ひとつになり、子どもも子ウサギも種も、大変満足のいくラストをむかえます。絵は、厚塗りの、荒削りな印象のもの。充分に余白をとったレイアウトのため、全体にすっきりとしてみえます。3つの視点を用いて語られるストーリーは、作品に奥行きをつくりだし、何度も読み返したくなる一冊になっています。小学校低学年向き。
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