2010年12月6日月曜日

すてきな子どもたち










「すてきな子どもたち」(アリス・マクレラン/文 バーバラ・クーニー/絵 きたむらたろう/訳 ほるぷ出版 1992)

あそこはロクサボクセンよ、といったのはマリアンでした。それは、どこにでもある、ごつごつした丘で、砂と岩、古い木の箱、サボテン、グリース・ウッド、それにとげだらけのオコティーヨのほか、なんにもないところでした。でも、そのロクサボクセンこそ、みんなが特別に気に入っていた場所でした。

マリアンが、黒くて丸い小石のいっぱいつまったブリキの箱を掘り出したとき、みんなは、あっ宝物が埋まってたんだなと思いました。それから何日間か、みんな頑張って宝探しをしました。こんなに一所懸命やれば、そのうち探さないでもみつかるんじゃないかしらと思えるほど。そのうち、ロクサボクセンの町は大きくなったので、石で区分けをし、家をつくりました。町役場ができ、マリアンが町長になりました。フランセスは家の境界線をコハク色、アメジスト色、青みがかった緑色のガラスや陶器のかけらでつくりました。まるで宝石の家のようでした──。

それから、ロクサボクセンの町には、パン屋さんが一軒と、アイスクリーム屋さんが二軒できます。みんな車をもっていて、というのもハンドルの代わりに丸いものをもっていれば、それで車になったからです。スピード違反は刑務所いき。でも、ウマならスピード違反も一時停止もありません。ウマがほしければ、棒きれと手綱みたいなひもがあればいいのです。ときどきは戦争もあります。一度は男の子対女の子の大戦争がありました。女の子はみんな、よくまとまって、アイリーンのお城を守りました──。

アリゾナ州ユマ町に、かつてロクサボクセンという名前で知られた丘があり、そこでくりひろげられた子どもたちによるごっこ遊びをえがいた絵本です。文章は、ロクサボクセンで遊んでいた子どもによる回想というかたちで書かれています。バーバラ・クーニーの絵が素晴らしいのはいうまでもありません。訳も素晴らしく、郷愁に満ちた一冊となっています。小学校中学年~大人向き。

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