2010年1月26日火曜日

毛皮ひめ












「毛皮ひめ」(シャーロット・ハック/文 アニタ・ローベル/絵 松井るり子/訳 セーラー出版 1991)

昔、金色の髪の愛らしいお姫さまがいました。お母さまは姫が赤ちゃんのときに亡くなり、姫はよくひとりぼっちでさみしそうにしていました。幸い、姫をわが子のように思ってくれる乳母がいて、姫にたくさんの先生をつけてくれたので、姫はきれいなだけでなく、強くて、賢くて、なんでおできるお姫さまに育ちました。やがて乳母が死に、お父さまは荷車50台分の銀貨と引きかえに、鬼のような王様に姫をやってしまうことにしました。そこで姫はいいました。「太陽のような金と、月のような銀と、星のように輝く3枚のドレス。それから、千種類のけものの毛皮を少しずつあつめてつくった上着をそろえていただきとうございます」

こんな無理な願いはかなうはずがないと、姫は思ったのですが、願いはすぐにかなえられてしまいます。そこで姫は、3枚のドレスを小さくたたみ、一つ目のクルミの殻におさめ、お母さまの形見の金の指ぬきと、小さな金のつむぎ車を2つ目のクルミの殻に入れ、料理番に教わった大好きなスープの香味料を3つ目の殻に入れると、千枚の毛皮の上着を着て、雪のふる闇のなかにでていきました。

その後、城をでたお姫さまは、とある城の料理番の下ばたらきとなります。お城でおこなわれる舞踏会にこっそり出席し、3枚のドレスや、指ぬきや、香味料をたくみにつかい、素敵な王様の心を射止めます。グリム童話の「千枚皮」によく似たお話です。アニタ・ロベールの絵が物語によくあっています。小学校中学年向き。

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