2010年1月4日月曜日

勇者プーリア








「勇者プーリア」(アリー・アクバル・サーデギー/絵 くろやなぎつねお/訳 ほるぷ出版 1979)

昔、ペルシャ(いまのイラン)のホサラーン地方にあるホラムズという大きな町に、プーリア・ワリーという勇者がいました。プーリアはもう年をとっていましたが、いまでもプーリアを倒して〈世界の勇者〉の名誉を手に入れようと、あちこちから若者たちがやってきました。プーリアは、若い勇者たちにはまだまだ負けませんでしたが、若者を倒してみんなのまえで恥をかかせるのは気がすすみませんでした。しかし、あるときシースタン地方から、年老いた母親をつれた若い勇者がやってきました。

プーリアは若者に組み打ちをやめるよう説得しますが、相手は聞き入れません。息子の勝利を神に祈っている母親を悲しませず、また自分に期待をかけているホラムズのひとびとを裏切らないようにする方法はないかと、プーリアは悩みます。が、プーリアはついに全力で若者とたたかうことを決意します。

イランの伝説をもとに、年老いた勇者の心情をえがいた読物絵本です。組み打ちとは、イランの国技であるレスリングのこと。文章はタテ書きです。勇者プーリアのいさぎよい進退が、気持ちのよい読後感を残します。小学校高学年向き。

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