2010年1月18日月曜日

ヒマラヤのふえ











「ヒマラヤのふえ」(A.ラマチャンドラン/作 木島始/訳 木城えほんの郷 2003)

昔、ヒマラヤの谷あいに、ラモルとブリンジャマティという夫婦が住んでいました。ふたりは一生懸命はたらきましたが、ちょっぴりの畑は岩だらけで、なにを植えても根は伸びず、ふたりの暮らしはつらいことばかりでした。ある晩、ふたりのところにおじいさんがやってきました。どうかひと晩泊めてくれませんか、というおじいさんに、ふたりは食べられるものはみんなだして、おじいさんをひと晩泊めてあげました。あくる朝、おじいさんはお礼にと、竹の笛をおいていきました。

それから何日かたち、竹の笛のことなどすっかり忘れてしまったある日、ラモルがふと笛を口にあてると、素晴らしい音色が響きました。そして、岩だらけの畑に草花が生い茂りました。

ここで終わればめでたしなのですが、話はまだ続きます。ラモルの笛の音を聴きに、フクロウに姿を変えて天界から三つ星が降りてくるのです。そして、ラモルの笛に聴きほれて天に帰れなくなりそうになった三つ星は、ラモルをマルハナバチに変えてしまいます。残されたブリンジャマティは、笛をくれた不思議なおじいさんの助けをかりて、三つ星をとらえるための網を織りはじめます──。

「昔、ヒマラヤのふもと、クマオンというところでうたわれていた物語」と冒頭にあります。絵は、様式化された色鮮やかなもの。ヒマラヤの昔話という雰囲気たっぷりの一冊です。小学校中学年向き。

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