2011年8月12日金曜日

ちいさな島











「ちいさな島」(ゴールデン・マクドナルド/文 レナード・ワイスガード/絵 谷川俊太郎/訳 童話館出版 1996)

大きな海のなかに、小さな島がありました。島をめぐって風が吹き、鳥たちが飛びました。島の上を雲がすぎ、魚が泳ぎ、霧が海からやってきて、小さな島をおだやかに湿ったかげにかくしました──。

春がすぎ、夏がきて、海からロブスターたちがあがってきて、岩のかげで脱皮し、アザラシたちは日当たりのいい岩根で寝ころび、赤ちゃんを育てます。そんなある日、ピクニックにやってきた家族と一緒に、一匹の黒い子猫がやってきます──。

作者のゴールデン・マクドナルドは、「おやすみなさいおつきさま」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 クレメント・ハード/絵 せたていじ/訳 評論社)や、「まいごになった子ひつじ」の作者として高名です。じつは、ゴールデン・マクドナルドという名は、レナード・ワイズ・ブラウンの筆名です。物語はこのあと、子猫と島が意味深い問答をかわし、子猫は自分もひとつの小さな島ではないかと考えます。絵は、色あいの濃い具象画。島の四季や1日が美しくえがかれた、思索に富んだ一冊です。1947年コールデコット賞受賞。小学校低学年向き。

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