2011年8月29日月曜日

こぐまくんのハーモニカ












「こぐまくんのハーモニカ」(ジョン・セバスチャン/作 ガース・ウィリアムズ/絵 三木卓/訳 リブリオ出版)

こぐまくんのお母さんはお話を書くひと、お父さんはハーモニカを演奏するひとでした。いつもの年のように、新しいハーモニカが届くと、お父さんは1本1本試し吹きをはじめました。そして、この年、お父さんは自分でつかうハーモニカを1本、こぐまくんにくれました。こぐまくんがそっと、いろんな吹きかたをしてみると、へんてこな音のなかから、ときどき短いメロディのようなものがあらわれました。「そうやって、きみがずうっと吹いていけば、きみのなかにある音楽が、ますます鳴りだすようになる」と、お父さんはいいました。

練習にはげんだこぐまくんは、やがてひとから、「大人になったらお父さんみたいになれるかもしれないぞ」といわれるようになります。そういわれて、はじめのうちは喜んでいたこぐまくんでしたが、だんだんと気が重くなってきます──。

ハーモニカを吹くことに悩むこぐまくんのお話です。絵は白黒の2色。ガース・ウィリアムズは、ハーモニカを吹くこぐまくんを大変可愛らしくえがいています。こぐまくんが悩んでいたのは、自分がいつもお父さんとくらべられることでした。こぐまくんは、自分がお父さんのようになりたいのかよくわかりません。そんなこぐまくんに、お父さんは優しいことばをかけます。ハーモニカを通して親子の機微をえがいた、素敵な一冊です。小学校低学年向き。

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