2011年8月15日月曜日

ふくろうくん












「ふくろうくん」(アーノルド・ローベル/作 三木卓/訳 文化出版局 1976)

冬の雪の降る夜、ふくろうは暖炉のそばにすわって、バタつきパンとお豆の入った熱いスープを食べていました。すると、玄関で大きな音がしました。ふくろうはドアを開けましたが、ただ雪と風だけでした。暖炉のそばにすわりなおすと、また大きな音がして、ドアを開けると、やっぱりだれもいませんでした。「ははあ、かわいそうな冬がぼくんちの玄関を叩いていたんだな。きっと暖炉のそばにすわりたいんだろうよ」。そして、ふくろうはドアを開けていいました。「さあ、冬くん、お入りよ。入ってちょっとあったまったらどう」──。

「がまくんとかえるくん」シリーズで高名な、アーノルド・ローベルの絵本です。このあと、ふくろうは、入ってきた冬に暖炉の火を消されたり、お豆のスープを凍らされたり、部屋のなかを雪の下敷きにされたりと、さんざんな目に遭います。本書は、こうした短いお話が5つ収められています。収録作を載せておきましょう。

「おきゃくさま」
「こんもりおやま」
「なみだのおちゃ」
「うえとした」
「おつきさま」

ふくろうくんは、涙でお茶をわかそうとして、次から次へと悲しいことを考えようとしたり、1階と2階に同時にいようとして、階段を降りたりのぼったりします。登場人物はいつもふくろうくんひとり。子どものひとり遊びをそのまま絵本にしたような、愉快な一冊です。小学校低学年向き。

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