2011年8月24日水曜日

ネズミはひとり森のなか












「ネズミはひとり森のなか」(トニー・ジョンストン/文 ダイアン・スタンレー/絵 小川仁央/訳 評論社 1987)

森のなかの小さな家に、小さなネズミが住んでいました。ネズミはいつもひとりぼっちで、チーズやミツバチのロウでできたロウソクを、コリコリかじっていました。ときどき森をみて、「森のなかにはだれがいるんだろう。ほかのネズミでいっぱいかしら」と思いました。でも、恥ずかしがりやのネズミは、森にでていくことはしませんでした。

あるとき、ネズミのところにコオロギがやってきて、二人は友だちになります。コオロギはネズミに、外にはたくさん木があって、仲良しの友だちがいて、雪があるのだと説明します。そして、夜にむかってコオロギがうたうと、どこからか楽しそうなさざめきが、ネズミの耳に聞こえてきます──。

ひとりぼっちのネズミをえがいた絵本です。文章は詩的でリズミカル。おそらく色鉛筆でえがかれた絵は、ぐっと色調をおさえ、モノクロに近い印象でえがかれています。楽しそうなざわめきは、ハトとウサギとリスによる聖歌隊で、ネズミとコオロギをたずねてきたのだとわかります。とても静かな、クリスマス絵本の一冊です。小学校低学年向き。

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