2011年8月2日火曜日

まじょのひ









「まじょのひ」(大塚勇三/再話 渡辺章人/画 福音館書店 1997)

南のほうにあるブーゲンビルという島では、火をもっていたのは、山のなかほどに住む何人かの魔女たちだけでした。海のそばの村のひとたちは、火がないので、食べものを煮たり焼いたりできませんでしたし、寒い夜にはふるえていなければなりませんでした。村のひとたちは、火だねを分けてもらいたいと、何度も魔女たちのところへ使いをだしましたが、魔女たちはどうしても火をわけてくれませんでした。

村のひとたちは話あったすえ、村で一番利口なイヌを呼び、魔女たちの火をもってきてくれるように頼みます。イヌは友だちの緑の羽根のオウム、ふさふさした尻尾のクスクス、長い尻尾のカエル、それにブタを呼んで、一緒に魔女の火をとりにいってくれるように頼みます──。

パプア・ニューギニアの昔話をもとにした絵本です。タイトルの「まじょのひ」は、「魔女の火」という意味でしょう。このあと、物語は、イヌの計画にしたがい、魔女の住みかへと続く道のあちこちに、オウム、クスクス、カエル、ブタがかくれ、イヌは魔女たちのところへいって…と続きます。また、この物語は「どうやって人間が火を手に入れたか」という話だけではなく、どうしてカエルには尻尾がないのか、どうしてクスクスの尻尾には毛がないのか、オウムの胸はなぜ赤いのか、といった由来譚にもなっています。小学校低学年向き。

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