2010年11月16日火曜日

まいごになった子ひつじ












「まいごになった子ひつじ」(ゴールデン・マクドナルド/文 レナード・ワイスガード/絵 あんどうのりこ/訳 長崎出版 2009)

ある山の草原で、羊飼いの少年がヒツジの番をしていました。ヒツジの群れには、どの群れにも生まれる一匹の黒い子ヒツジがいます。黒い子ヒツジはよく群れをはなれてしまうので、そのたびに少年は口笛を吹いて犬を呼び、連れもどしにいかせなければなりませんでした。日が高くなり、しだいにあたたかくなってくると、少年はヒツジたちをつれて、さらに山を登っていきました。山頂のすぐ下にある緑の谷で、ヒツジたちは夢中になって草を食べました。少年はナナカマドの木の枝で、せっせと笛をつくり、犬はぽかぽかしたあたたかい岩の上でうたたねをしました。黒い子ヒツジがまた群れをはなれていくのに気づいた者は、だれもいませんでした。

黒い子ヒツジがいなくなったことに気づいた少年と犬は、ほうぼうを探しまわりますが、子ヒツジは見つかりません、日がかたむいてきたので、少年は仕方なく山を下り、ヒツジたちを連れて牧場にもどります。できるだけのことをしたんだ、朝まで待とう、朝になればあの子ヒツジは絶対みつかる。そう少年はベッドのなかで考えますが、眠ることができず、とうとう小屋を抜けだし、ピューマがうろついている山へむかいます。

ワイスガードの絵は、高い山あいの雰囲気が大変よくでています。夜の場面はカラーではなく、紫がかった2色となり、緊張感をかもしだします。絵も文章もともに充実した、素晴らしい一冊です。1946年度コールデコット賞オナー賞受賞作。小学校低学年向き。

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