「鳥に魅せられた少年」(ジャックリーン・デビース/文 メリッサ・スウィート/絵 樋口広芳/日本語版監修 小野原千鶴/訳 小峰書店 2010)
18歳になったジョンは、英語や商いの方法を学ぶため、フランスをはなれ、アメリカのペンシルベニアで暮らしはじめました。ジョンがなにより好きだったのは、鳥の観察でした。まだ雪の残っている4月のある日、鳥の巣のある洞窟をのぞきにいくと、なかから鳥が飛びだしてきました。それは、春になってもどってきたツキヒメハエトリでした。
もどってきたツキヒメハエトリをながめながら、ジェームズは考えます。この鳥は去年、この巣をつくった鳥と同じ鳥だろうか? もしそうだとしたら、冬のあいだはどこにいたのだろう? 来年の春には、またここへもどってくるだろうか?
ツキヒメハエトリの観察を続けながら、ジョンはある実験を思いつきます。それは、ひな鳥の足にひもを結びつけるというものでした。ジョンはさっそく実行してみますが、最初に結びつけたひもは、すぐにほどかれてしまいます。そこで、8キロはなれた村にでかけ、細い銀をよった糸を買ってきて、それをひな鳥に結びつけます。1週間後、鳥たちは飛び立っていきました。はたして、ジョンがひもを結びつけた鳥は、またもどってくるでしょうか。
アメリカの鳥類研究家ジョン・ジェームズ・オーデュポン(1785ー1851)についての絵本です。絵は水彩とコラージュによって表現されています。巻末の文章によれば、鳥の足にひもを結びつけるというアイデアを実行したのは、北米ではジョンがはじめてだったということです。ジョンがそれをしたのは1804年のことでした。また、巻末には、ジョンによる大変美しいツキヒメハエトリの水彩画が乗せられています。本文がちょっと読みにくいのが残念ですが、魅力的な絵本です。小学校高学年向き。
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