2010年11月9日火曜日

ばしゃでおつかいに












「ばしゃでおつかいに」(ウィリアム・スタイグ/作 せたていじ/訳 評論社 2006)

お百姓のブタ、パーマーさんは朝早く、雇いのロバのエベネザーじいさんと一緒に、町に野菜を売りにいきました。10時までに野菜はすっかり売り切れ、パーマーさんはうちの者みんなにおみやげを買いました。太った奥さんにはカメラ、太った長男のマックには大工道具、太った長女のマリアには自転車、太った次男のゼークにはハーモニカ、太った自分には銀時計、そして日差しに弱いエベネザーじいさんには麦わら帽子。12時に家路についた2人は、うまくいけば約束通り3時までに家に帰れる予定でした。ところが、そこに大雨が降ってきました──。

このあと、2人は大変な目に遭います。まず、馬車がカミナリで倒れた木の下敷きになってしまいます。大工道具をつかってなんとか木を片づけたものの、こんどは馬車の車輪がはずれてしまいます。車輪をはめ直して出発すると、馬車を引いていたエベネザーじいさんが、足首をひねってしまいます。そこで、代わりにパーマーさんが馬車を引くのですが、坂道で馬車が暴走し、馬車はばらばらになってしまい──。

苦労をして家に帰りつく、ブタのパーマーさんとロバのエベネザーじいさんのお話。ウィリアム・スタイグの絵本は、いつも思いがけない困難と、そこからの脱出がえがかれますが、本書もまた同様です。たび重なる困難を、家族に買ったおみやげをつかってしのいでいくところが、面白いところです。小学校中学年向き。

余談ですが、ウィリアム・スタイグは絵本だけでなく、「ぬすまれた宝物」「アベルの島」「ドミニック」(いずれも評論社)といった読物も書いています。どれもスタイグらしい面白さに満ちています。

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