2009年7月27日月曜日
「さるとかに」と「かにむかし」
「さるとかに」(神沢 利子/文 赤羽 末吉/絵 銀河社 1999)
「かにむかし」(木下順二/作 清水崑/絵 岩波書店 1980)
2つとも「さるかに合戦」の絵本です。有名な話なので、紹介文は省略。
昔話はタイトルがいろいろであることが多く、上記の2作もタイトルを知っていないと、さがすのがむつかしいかもしれません。
大勢を相手に読み聞かせをするのにむいているのは「さるとかに」のほう。文章が短くて読みやすく、また赤羽末吉さんの絵はさすがのうまさてす。
「かにむかし」は文章が独特の語り口調で、また一文が長く、読むには熟練を要します。また、クライマックスのところが、絵と文があっていないのも、大勢を相手に読むさいは難点です。とはいえ、本書は一種の風格があり、一気呵成に語られるラストの面白さもあって、お話会でよくつかわれる定番絵本となっています。
下記に、文章の例をあげておきます。
「さるとかに」
《かには、かきの たねを もちかえって、にわに うめました。
みずを やり、こやしを かけて、いいました。
はよう めを だせ
かきの たね
ださんと はさみで
ほじくるぞ
かきの たねは、ほじくられてはたいへんと、あわてて ちいさい
めを だしました。》
「かにむかし」
《かには その たねを うちの にわの す
みに まいておいてから、まいにちまいにち
せっせと みずを かけたり こやしを やっ
たりしては、
「はよう 芽を だせ かきのたね、
ださんと、はさみで、ほじりだすぞ」
というておったら、かきのたねに、ほじりだされ
ては かなわん、とおもうたかして、やがて ち
いさな 芽を だしたそうな。》
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