「たなばた」(君島久子/再話 初山滋/画 福音館書店 1980)
昔、天の川に七人の天女がいました。みな、機織りが上手で美しい雲をつくっていましたが、なかでも末の娘の織姫が一番上手でした。天の川の西側は人間の世界でした。そこでは、ひとりの牛飼いが年とった牛と暮らしていました。ある日、突然牛がものをいいました。いま、天女たちが天の川に水浴びにきます。そのなかの織姫の着物をかくしてしまいなさい。牛飼いが牛にいわれたとおりにすると、ほかの天女たちは着物を着、鳥になって飛びたちましたが、織姫はとりのこされてしまいました。そこで、牛飼いは、織姫に、わたしの妻になってくださいとたのみました。
七夕の由来を絵本にしたものです。 このあと、夫婦になったふたりは二人の子どもをもうけます。が、天の王母はこのことに怒り、織姫を連れ去ってしまいます。そこで牛飼いは子どもを連れて織姫を追いかける…とういう風に物語は続きます。知っていると思っている話でも、いざ実物にあたってっみると、こんな話だったのかと思うことがよくありますが、この絵本もそんな話のひとつです。
絵は抽象的な、モダンな絵。文章は一部が急に縦書きになったりします。話も長く、読み聞かせるには練習が必要です。でも、さまざまある七夕絵本のなかで、格調の高さは随一です。同じ七夕を題材にした絵本にした絵本に「天人女房」「(稲田和子/再話 太田大八/絵 童話館出版 2007)があります。こちらは、鹿児島県の昔話を絵本にしたものです。話は、「たなばた」とよく似ていますが、織姫が子どもをつれて天に帰るところなど、細部が微妙にちがっています。読みくらべてみるのも面白いでしょう。小学校低学年向き。
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