2010年3月30日火曜日

巨人グミヤーと太陽と月












「巨人グミヤーと太陽と月」(君島久子/文 小野かおる/絵 岩波書店 2000)

はるか昔、天も地もなく、ただ黒ぐろとした雲のようなものが空中をただよっているだけのころ、神の巨人グミヤーは天と地と人間をつくろうと思い立ちました。グミヤーはサイの皮で天をつくり、肉で地をつくり、それから骨で岩や石を、血で水を、毛で草木や花をつくりました。そして、サイの骨ずいで鳥やけものや虫や魚などをつくり、最後に脳みそで人間をつくりました。

ところが、グミヤーのつくった天地をねたんで、地上のあらゆるものを焼きほろぼそうと、太陽の9人の姉妹と月の10人の兄弟がやってきました。地はからからに干上がってしまい、怒ったグミヤーは一番高い山に登ると、太陽と月をつぎつぎと射落としていきました。

こうして、太陽と月の兄弟を倒したグミヤーでしたが、一組だけ残った太陽と月がかくれてしまったため、世界は暗く冷えきってしまいます。後半は、この太陽と月をかくれ場からだすという、わが国の天の岩戸とよく似た話になります。ただし、話は天の岩戸よりもずっと豪快です。

中国のプーラン族につたわる神話を題材にした絵本です。プーラン族は、中国雲南省西南部、ビルマと国境を接した海抜2千メートルに近い山岳地帯に住む、中国でもっとも古いといわれている民族だそうです。話はじつに柄が大きく、読むとはるばるとした気持ちになります。読物絵本。小学校中学年向き。

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