「ビュンビュンきしゃをぬく」(アーナ・ボンタン/文 ジャック・コンロイ/文 バージニア・リー・バートン/絵 ふしみみさを/訳 岩波書店 2004)
犬をつれたひとりの男が駅長室にやってきました。男は流しの火夫(かふ)で、名前をゴウゴウ、犬はビュンビュンといいました。あちこちの鉄道で仕事をしてきたというゴウゴウの話を聞いて、駅長さんは雇ってもいいといいました。ただし、規則があって、犬は運転席には入れません。すると、ゴウゴウはいいました。「ビュンビュンは運転席になんて乗りませんよ。汽車のわきを走るんでさあ」
駅長さんは、ゴウゴウを貨物列車に乗せることにしましたが、ビュンビュンは貨物列車を追い抜いてしまいます。犬に負けたとあっては鉄道の評判はがた落ちです。そこで、ゴウゴウを普通列車に乗せて競争させますが、これもビュンビュンの楽勝。つぎは、急行列車と競争させますが、ビュンビュンはそれにも勝ってしまいます。そこで、駅長さんは世界一の超特急「弾丸号」をビュンビュンと競争させることにします。
表紙と裏表紙はつながっていて、広げると、一枚の絵になります。余裕のある笑みを浮かべたビュンビュンが印象的です。また、ビュンビュンとゴウゴウの信頼関係に胸が熱くなります。普通列車に乗ってもらおうと駅長さんにもちかけられたゴウゴウはこうこたえます。「がってんでさぁ。おいらもビュンビュンも、贅沢はいわねえ。もらった仕事はなんでもやって、いつも一緒にいるまでだ」。また、駅長さんの悪役ぶりも愉快で、文句なしに楽しめる読物絵本です。小学校中学年向き。
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