「ダフィと小鬼」(ハーヴ・ツェマック/文 マーゴット・ツェマック/画 木庭茂夫/訳 富山房 1977)
昔、トローヴにラヴェルという郷士が住んでいました。女中のジェーンばあさんが年をとってきたので、ラヴェルさんは手伝いをさがしに、馬に乗ってバーヤン・チャーチタウンへでかけました。すると途中、あるばあさんが娘をほうきで殴りつけているところに出くわしました。「娘のダフィは一日中男と遊びまわってうちの仕事はいっさいしないんです」と、ばあさんがいいました。すると、ダフィがいいました。「そんなのみんな嘘です。わたし、仕事はなんでもしているのに、ぼろしか着せてもらえないんです」。そこでラヴェルさんが、うちではたらかないかとダフィにたずねると、「雇ってみてください旦那さま。けっしてご損はかけません!」と、ダフィはこたえました。
さて、ラヴェルさんのうちではたらくことになったダフィは、さっそく靴下の編み物をいいつけられます。でも、じつはダフィはうちの仕事が大きらい。「郷士さまの靴下なんか、悪魔がつくってくれればいい」とダフィがいうと、どこからともなく小鬼があらわれて、たちまち靴下を編み上げてしまいます。そして小鬼はこういいます。「3年のあいだ、つむいだり編んだりしてあげよう。しかし、3年たったら、わしはおまえさんを連れていくよ。わしの名前を当てないかぎりはね」
その後、編み物はたいそう評判になり、ダフィはラヴェルさんとも結婚します。ダフィは楽な暮らしを満喫しますが、いよいよ約束の3年目が近づいてきて──。
イギリス、コーンウォール地方の民話をもとにした絵本です。話は、「イギリスとアイルランドの昔話」(石井桃子/編・訳 J・D・バトン/画 福音館書店 1982)に収録されている「トム・ティット・トット」とよく似ています。小学校中学年向き。読物絵本。1974年コールデコット賞受賞作。
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