「チャンティクリアときつね」(ジェフリー・チョーサー/原作 バーバラ・クーニー/作 ひらのけいいち/訳 ほるぷ出版 1978)
昔、ある谷間の森の近くに、お母さんと2人の女の子が住んでいる一軒の家がありました。その家にはチャンティクリアというオンドリがいて、7羽のメンドリにかこまれて暮らしていました。ある明け方、チャンティクリアは猟犬のようなやつに襲われる夢をみて目を覚ましました。「こわくてこわくて息が止まりそうだった」とチャンティクリアがいうと、メンドリのパーレットがいいました。「ばかなことをいわないで。わたし、臆病者は大嫌いよ」 ところが、そのあととても恐ろしいことが起こったのです。
チャンティクリアの夢は正夢になってしまいます。森に住んでいる悪がしこいキツネが、ことばたくみにチャンティクリアをおだてあげ、油断したところをぱくりと食わえてしまうのです。キツネは森に逃げようとしますが、そこでお母さんや女の子や家畜たちによる、大追跡がはじまります。
原作はチョーサーの「カンタベリー物語」にある「修道女につきそう司祭の話」。キツネとチャンティクリアのかけあいが、じつに生き生きしています。また、当時の風俗をそのままに描いたクーニーの絵がとても素晴らしいです。1958年のカルデコット(コールデコット)賞受賞作。小学校低学年向き。
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