「舌ながばあさん」(武建華 (ウー・ジェンホア)/絵 千葉幹夫/文 小学館 2001)
オクヤマ岳のオクマタ峠というところに、舌ながばあさんと、おにの朱(しゅ)のばんが住んでいました。ふたりの楽しみは、道にまよって峠にきた人間を驚かすことでした。ところが、このところ、だれも峠にやってきません。二人が山を下りてみると、森の木はなくなり、川はせきとめられて湖になり、池の水は干上がっていました。ようやく村人をみつけたふたりは、村人を驚かそうとしますが、相手は驚きません。川の水がかれて、米もいもも育たなくなったので、村人たちは驚く元気もないのです。村人に頼まれた二人は、堤を切り、川にふたたび水を流そうとしますが──。
この後、湖にむかった二人のまえに竜がたちふさがり、大スペクタクルが展開します。この絵本、一見中国の昔話を絵本化したもののようにみえますが、じつはちがいます。江戸時代に福島近辺につたわる話をあつめた「老媼茶話」という本に紹介された話を脚色したものだそうです。それを、絵を描いた武健華さんが、中国風に置きかえています。講談社出版文化賞・絵本賞受賞作。小学校中学年向き。
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