「あおいやまいぬ」(マーシャ・ブラウン/作・絵 瀬田貞二/訳 瑞雲舎 1995)
よく鳴くので“とおぼえ”と名づけられた山犬がいました。ある夜、お腹がすいてたまらなくなったとおぼえは、町に食べものをあさりにいきました。ところが、町のいぬたちに追いかけられ、とおぼえは無我夢中で染物屋の藍の大瓶にとびこみました。真っ青に染まったとおぼえが森に帰ると、森の動物たちはとても驚きました。そこで、とおぼえはいいました。「森のけものたちに王さまがいないのを高みにいます神々がごらんになって、ここの私を造られたのだ」。そして、とおぼえは森の王さまとなって暮らしますが…。
「パンチャタントラ」という、古いインドのたとえ話集の一つを題材にした、寓話風の絵本です。ラスト、とおぼえは、ただの山犬であることがばれて、山の動物たちに追い出されてしまいます。そして、「なんだったのか? あのくらしは?」と、考えるところで終わります。マーシャ・ブラウンの絵は、ここでも素晴らしい力を発揮しています。巻末で、訳者の瀬田貞二さんがマーシャ・ブラウンについてこう書いているのが印象的です。「この絵本をかいたマーシャ・ブラウンは、絵本をかくために生まれたような人です」。小学校低学年向け。
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