「きつねとトムテ」(カール‐エリック=フォーシュルンド/詩 ハラルド=ウィーベリ/絵 やまのうちきよこ/訳 偕成社 1981)
ある冬の夜、空一面のきらめく星に照らされて、お腹をすかせたキツネが一匹歩いていました。キツネは雪の野原を横切ると、農場に入り、牛小屋をのぞき、鳥小屋の前にやってきました。なかのニワトリを食べようと、鳥小屋に入ろうとしたとき、キツネはだれかに見られているような気がしました。振りむくと、木陰に小人が立っていました。
小人は赤い毛布の帽子をかぶり、白いヒゲを長く伸ばしたトムテでした。トムテはクリスマスのおかゆをキツネに食べさせ、ニワトリを食べるのをやめさせます。
北欧のクリスマスに材をとった絵本です。注釈によれば、北欧では、家の見回りをしてくれるトムテのために、クリスマスが近づくと、うつわに盛ったおかゆを家のまえや仕事場にだしておく風習があるそうです。トムテがキツネに食べさせたのは、このクリスマスのおかゆでした。また、あとがきによれば、もともとの文章は詩で、この詩に心打たれた画家が絵を描き、絵本をつくったそうです。冬の夜の絵は大変素晴らしく、キツネやトムテと一緒にいるような臨場感に満ちています。小学校低学年向き。
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