「ロバのおうじ」(M.ジーン・クレイグ/再話 バーバラ・クーニー/絵 もきかずこ/訳 ほるぷ出版 1979)
昔、広くて平和な国を治めている王様とお妃さまがいました。王様はなによりも自分の財産が好きで、ひまさえあれば金蔵にこもって、銀ののべ棒や金貨やルビーや真珠を数えてすごしました。お妃さまはなによりもきれいなお召しものが好きで、ひまさえあれば鏡のまえでドレスを着替えてすごしました。ふたりには子どもがいなかったのですが、ある日旅人から、どんな願いもたちどころかなえてくれる魔法使いの話を聞きました。そこで、王様とお妃さまは馬に乗り、大きな森の洞穴に住む魔法使いを訪ねました。
さて、王様とお妃さまの話を聞いた魔法使いは、代金として金貨のつまった袋を3つ要求します。ところが、王様は支払いにまがいものの金貨を混ぜ、それに気づいた魔法使いは、お妃さまにロバそっくりの子どもが生まれるよう呪文をかけます。
グリム童話の「ロバのおうじ」を元にした絵本です。王子は立派に成長しますが、ロバの姿のため、だれにも愛されることがありません。そこで、王子はリュートをひとつたずさえて旅にでます。絵は、おそらくパステルと水彩でえがかれたもの。クーニーはここでも素晴らしい仕事をしています。透明感があり、親しみやすく、簡潔ながらよく空間を表現し、物語を語って過不足のない、大変美しい絵がみられます。小学校低学年向き。
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