2010年10月18日月曜日

ジャンヌ・ダルク











「ジャンヌ・ダルク」(M・ブーテ・ド・モンヴェル/作 やがわすみこ/訳 ほるぷ出版 1978)

ジャンヌ・ダルクは1412年1月12日、フランスはロレーヌ地方のドンレミイという小さな村に生まれました。父はジャック・ダルク、母はイザベル。素朴ではたらき好きで、暮らしむきも豊かなお百姓の一家でした。

13歳のとき、ある夏の真昼、庭にいたジャンヌは不思議な呼び声を耳にしました。続いて、目もくらむような光とともに、大天使ミカエルがあらわれて、逆境にあるフランス王太子を助け、ランスで戴させるようにとジャンヌに告げました。

その後も、天からの呼び声はくり返し聞こえてきます。18歳になったジャンヌは、家を抜けだすと近くに住む叔父さんを訪ね、お告げのままにヴォークールールの守備隊長ボオドリクールのもとへ連れていってくれるように頼みました。叔父さんは、可愛い姪の熱心な訴えにうごかされ、つきそい役になることを承知してくれました。

ボオドリクールと面会したジャンヌは、神のお告げのことを物語り、王太子に紹介してほしいと頼みますが、断られます。いったんはドンレミイにもどったジャンヌでしたが、かさねてのお告げを受けて、再びヴォークールールにむかいます。

ジャンヌ・ダルクの生涯をもとにした読物絵本です。巻末の解説によれば、作者のブーテ・ド・モンヴェルはフランス絵本の創始者。絵柄は版画風で、当時の風俗がていねいに描かれています。作者によれば、ジャンヌは戦場で剣を振ったことがなかったそう。

「ジャンヌの唯一の武器は旗でした。この旗をかかげて前線をあちこちとびまわり、味方にかぎりない励ましをあたえるのでした」

「絵本の世界110人のイラストレーター 第2集」(堀内誠一/編 福音館書店 1984)のなかで、堀内誠一さんはこう書いています。

「“もっとも美しい絵本”を選ぶとき「ジャンヌ・ダルク」を忘れるわけにはいかない」

品格のある、素晴らしく美しい絵本です。小学校高学年向き。

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