2010年5月24日月曜日

まほうのなべ












「まほうのなべ」(ポール・ガルドン/再話・絵 晴海耕平/訳 童話館出版 1998)

昔むかし、村はずれの小さな家に、女の子とお母さんが住んでいました。とても貧乏で、食べるものがなにもなくなると、女の子は近くの森へクルミやイチゴをさがしにいきました。ところが、ある寒い朝、女の子は暗い森のなかを歩きまわりましたが、食べるものはなにひとつ見つかりません。倒れた木に腰かけて泣いていると、長いマントを着たおばあさんがあらわれていいました。「これは魔法のなべじゃ。火にかけてこう唱えなさい。〈煮えろ、小さななべよ煮えろ!〉。そうすると、なべはおいしいオートミールでいっぱいになる。食べるだけ食べたら、こう唱えなさい。〈とまれ、小さな鍋よとまれ〉」

さて、おばあさんからおなべをもらった女の子は、走って家に帰ると、さっそくなべを火にかけてみます。〈煮えろ、小さななべよ煮えろ!〉というと、オートミールが煮え、〈とまれ、小さな鍋よとまれ〉というと、煮えるのがぴたっととまります。こうして、いつでも好きなだけオートミールが食べられるようになりましたが、ある日、女の子が友だちのうちに遊びにいったとき、お母さんはおなべをとめる呪文を忘れてしまい、オートミールはねべからこぼれ、家のなかを埋めつくし、ついには村のなかにまであふれでて──。

村中がオートミールだらけになる場面が圧巻です。これからどうなるんだろうと、読んでいてはらはらしてしまいます。また、村のひとたちが、うれしそうにオートミールを食べる姿も印象的です。小学校低学年向き。

なお、本書は「まほうのおなべ」(ポール・ガルドン/再話・絵 田中とき子/訳 岩崎書店 1980)としても出版されています。タイトルや訳者はちがいますが、同内容の絵本です。

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