2010年5月21日金曜日

仕立屋のニテチカさんが王さまになった話












「仕立屋のニテチカさんが王さまになった話」(コルネル・マクシンスキ/再話 足達和子/訳 ボグスワフ・オルリンスキ/絵 偕成社 2010)

タイダライダという小さな町に、仕立屋のユゼフ・ニテチカさんが住んでいました。とてもやせっぽっちで、スパゲッティのほかはのどを通らないので食べられないほどでした。あるとき、足をけがしたロマ女の傷口をきれいに縫ってあげると、ロマ女はお礼に手相をみてくれました。「日曜日に町をでて、西へ西へといきなされ。あんたを王さまにしてくれる国につきまする」。その夜、ほんとうに王さまになった夢をみたニテチカさんは、ふろしきに針を100本、糸を1000キロメートル、それに指ぬき、アイロン、裁ちバサミを包んで、西にむかって旅立ちました。

ポーランドの昔話を絵本にしたもの。このあと、ニテチカさんは、たまたま知りあった、かかしの伯爵とともに、さまざまな冒険をし、近ごろ王さまが亡くなったというパツァヌフをめざします。文章はタテ書きの読物絵本。登場人物も物語も、陽気で奇想天外です。ラストの壮大さにはびっくりします。

巻末のあとがきでは、物語をていねいに解説しています。それによれば、パツァヌフは実在の町ですが、昔話では必ずおかしなひとばかりが住んでいて、おかしなことばかりが起こる町(昔話研究用語で〈愚か村話〉と分類される話〉)として語られる町だということです。小学校中学年向き。

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