2010年5月26日水曜日

りすのヒュータス












「りすのヒュータス」(V.H.ドラモンド/作 やまだしげこ/訳 福音館書店 1988)

ミカン色をした毛糸のリス、ヒュータスは、ジュリアンと、ジュリアンのお父さんとお母さんと一緒に暮らしていました。ヒュータスは、ジュリアンの一番のお気に入りだったので、おもちゃの王様でもありました。ある日、公園に連れていかれたヒュータスが、乳母車でじっとしていると、突然吹いてきた風に木の根っこまで吹き飛ばされてしまいました。そこで、日なたぼっこをしていると、ファンテルという名前の、一匹の灰色リスがやってきました。ヒュータスが「ぼくもリスだよ」とファンネルにいうと、「ええっ! おまえがリス?」とファンテルは指をさして大笑いしました。ヒュータスは泣きだしてしまったので、「毛糸のリスだって素敵だね」と、ファイテルは慰めました。

その後、ヒュータスはぶじ発見され、家に戻るのですが、うちにはお父さんからジュリアンにプレゼントが届いています。それは、大きくてお洒落なウサギのぬいぐるみ、ラルフでした。ラルフはひどいうぬぼれ屋で、勝手におもちゃの王様になると、ヒュータスを床の上に追いやって、自分はベッドに入ってしまいますし、公園にいくと、ヒュータスを乳母車から追いだしてしまいます。すると、それを見ていたファンテルが、ヒュータスのところにやってきてこういいます。「もう、きみ、ほんもののリスに変わりたいだろう」。ファイテルが魔法をかけると、ヒュータスは本物のリスになって──。

長め(48ページ)の読物絵本です。後半は、公園の管理人、モートンさんが大活躍。物語は二転三転し、これからどうなるのだろうと思うのですが、最後はなにもかもうまくいきます。

水彩でさっと描かれた絵が、じつに見事です。話もしっかりしていて、読物絵本の傑作のひとつでしょう。小学校中学年向き。

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