2009年12月17日木曜日

いちばんのなかよし










「いちばんのなかよし」(ジョン・キラカ/作 さくまゆみこ/訳 アートン 2006)

どうぶつ村では、ネズミがとても大事にされていました。ネズミだけが火のおこしかたを知っていたからです。村の動物たちは、毎朝ネズミのところにやってきて、火を分けてもらいました。ある年、雨が降らない日が続き、畑の作物が枯れはじめました。そこで、となりに住んでいる仲良しのゾウがいいました。「きみのうちには壁がない。泥棒が入るかもしれないよ。きみの蓄えはぼくが預かってあげよう」

その後、日照りが続き、ネズミはゾウに預けていた蓄えを返してもらいにいきますが、ゾウは返してくれません。ネズミは村を去り、ゾウは村の動物たちに責められます。また、ネズミが火をつかって仕返しにくるのではないかと心配になります。

巻末の訳者あとがきによれば、作者のジョン・キラカはタンザニアの絵本作家。独特の絵は、ティンガティンガ派とよばれる画風だそうです。絵本のストーリーは、昔話に作者がオリジナルな味つけをしたものではないかと、訳者のさくまゆみこさんは想像しています。ともすれば、お説教くさくなってしまいそうな話ですが、趣のある絵と、充分に報いをうけるゾウのおかげで、面白い作品になっています。小学校低学年向き。

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