「ふるやのもり」(瀬田貞二/再話 田島征三/絵 福音館書店 2007)
昔、ある村のはずれに立派な子馬を育てている、じいさんとばあさんがいました。その馬小屋に、ある雨の晩、子馬を盗もうと馬泥棒が忍びこみ、梁にのぼって隠れていました。それから子馬を食べようと、山のオオカミも馬屋に忍びこみ、わらの山のなかに隠れていました。そうとは知らない、じいさんとばあさんは、「この世でいちばん怖いもの」について話をしていました。2人が、「この世でいちばん怖いものは泥棒でもオオカミでもない、“ふるやのもり”じゃ」というので、それはいったいどんな化け物だろうと、泥棒もオオカミも怖くなりました。そのうちに、雨がざんざん降ってきて、古い家のあちこちで雨もりがしてきました。そこで、じいさんとばあさんは一緒に「そら、ふるやのもりがでた!」と叫びました。
泥棒の首筋にも雨もりのしずくがたれてきたので、泥棒はびっくり仰天。梁からとび降りると、そこはオオカミの背の上で、オオカミも仰天。オオカミは泥棒を背にのせて、夜が明けるまで駆け続けます。ここまでが前半。後半は木のほらに逃げこんだ(オオカミが“ふるやのもり”だと思いこんでいる)泥棒を退治しに、サルがでかけていき、サルの顔はなぜ赤いかという由来が語られます。読み聞かせをする場合、夜の場面など遠目がききづらいかもしれません。でも、話は無類の面白さです。小学校低学年向き。
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